衰退したかに思われた東京の銭湯が次々とリニューアルを遂げている。人が集まるコミュニティの場となり情報発信するメディアの役割も担いはじめた。クリエイティブの力や企業のサポートはもちろん銭湯文化を未来へ繋ごうとする店主たちにも注目。
Words_Studio.JAMANDFIX Edit&Words_Aki Fujii
黄金湯 【錦糸町】
(こがねゆ)
東京の銭湯人気を復活させたパイオニア
戦前1932 年の創業で、オーナーが高齢のため閉業することとなった「黄金湯」を、ご近所の銭湯「大黒湯」のオーナー夫妻が継業。老朽化した「黄金湯」を2020 年、フルリニューアルした。「銭湯の存在意義を伝えるため、若い世代にも来てもらえる空間にしたい」と、設計は「BLUE BOTTLE COFFEE」なども手がけた「スキーマ建築計画」に依頼。番台にビアバーやDJ ブースを併設し、2 階には銭湯利用者以外も使用できる宿泊スペースやカフェ「コガネキッチン」も。筆者おすすめは、男湯のサウナから続く外気浴スペース。空を見上げれば、全身で地球との一体感が得られる。
墨田区太平4-14-6
☎ 03-3622-5009
Open 6:00~9:00、11:0(0 土曜15:00)~24:30
Close 第2・第4月曜
料金 大人¥550(90分)、中学生¥450、小学生¥200、未就学児¥100
サウナ2時間 女性+¥350(土日祝+¥400)/男性+¥550(土日祝+¥600)
※水曜のみ男女入れ替え
P 近隣にコインパーキングあり
小杉湯 原宿
(こすぎゆ はらじゅく)
原宿の街角に出現した銭湯の新たな役割
昨年、原宿の中心に銭湯がオープン。オーナーは、高円寺で創業92 年を迎えた「小杉湯」の三代目、平松佑介氏。「“ 街に銭湯がある社会” を100 年後も残したい」との想いから、手ぶらで行けるのはもちろん、原宿で働く人や買い物に来た人たちが立ち寄りやすい7 時~ 23 時で営業。浴室の木桶や木椅子、白いタイルなどは手入れ必須なものばかりだが、「祖父の時代の銭湯で使っていた“ 本物”」にこだわった。原宿でこうした贅沢な温浴体験を¥550 という安価で提供するため、企業サポートも活用しながら運用。“ 街の銭湯” の新たなモデルケースとして注目したい。
渋谷区神宮前6-31-21
東急プラザ原宿「ハラカド」B1階「チカイチ」内
☎ 03-6712-5026
Open 7:00~23:00(最終受付22:15)
Close 木曜 料金 大人¥550、小学生¥200、 未就学児¥100
P 近隣にコインパーキングあり
狛江湯
(こまえゆ)
街に交流を生んだホットステーション
「東京銭湯の灯を消さない」。そんな想いを掲げ、1955年創業の「狛江湯」を蘇らせたのは、三代目の西川隆一氏。「スキーマ建築計画」に依頼したリニューアルは、ミントグリーンを基調に、浴室の「炭酸泉」「ジェット」などのサインをタイルでデザイン、貼り紙やポスターは極力貼らない心地よい空間作りを心がけた。建物前のスペースではマルシェやライブ、写真展などイベントも定期的に開催。老若男女があらためて寄り合い、街に新たな交流が生まれている。「楽しい場所になれば自然と、働きたい人もたくさん来てくれます」と西川氏。東京銭湯の未来は、ここに詰まっている。
狛江市東和泉1-12-6
☎ 03-3489-3881
Open 13:00~23:00
Close 火曜 料金 大人¥550、小学生¥200、未就学児¥100
サウナ+¥680(貸しタオル付き)
P 近隣にコインパーキングあり
すえひろ湯 【大井町】
銭湯経営のノウハウを生かし、再出発
老朽化により閉業した老舗銭湯「末広湯」を、「祖父同士の付き合いがあった」という「金春湯」のオーナー兄弟が事業承継し、「すえひろ湯」として再出発。弟の角屋雄太氏は、「小さい頃にたくさんあった銭湯がどんどん廃業し、ぼくら世代が銭湯を残さなくては」と使命感を感じたという。カーブが美しい外観や特徴的な八角形の洗い場は残し、サウナの拡張やととのいスペースを設置。時代に合わせたリニューアルで、常連客を呼び込んでいる。
品川区大井1-42-4
☎ 090-4326-0485
Open 15:00(土日祝10:00)~25:00
(最終受付24:30) Close 火曜
料金 大人¥550、中学生¥400、小学生¥200、未就学児¥100 サウナ+¥600
※大人1名につき未就学児1名無料
P 近隣にコインパーキングあり

