思考し続ける日常から離れ、都心から3 時間ほどドライブをして長野県・軽井沢へ。目指すは上信越高原国立公園内にあるアウトドアリゾート「ライジング・フィールド軽井沢」。4万坪という大自然の中でネイチャーアクティビティが存分に楽しめるそこでは、普段はあまり使わない右脳を最大限に刺激し、生来の野生を蘇らせる時間が待っている。
Photography_Eric Micotto Text_Takashi Osanai
自然とつながることで本来の自分を取り戻す
スキー好きが高じ、冬は天気の長期予報が確認できる期間しか予定を入れない企業経営者がいる。公私において、何よりも〝雪ファースト〟というわけだ。その人は都心にいても心は北国にあり、ヴァージンスノーを滑走するシーンを空想して昂る。その心情は雪煙上がる斜面を実際に滑走した体験者ならではのもの。実体験を積み重ねてきたからこそ、ロジカルにマネジメントに取り組み、感性豊かに生きることができる。
高速道路を降り、森の中へ入っていくにつれて建造物は減り、一方で白樺や赤松の木々や川といった自然が豊かになっていく。非日常へトランスファーしていく状況ゆえ心は踊り、やがて体験するネイチャーアクティビティへの期待感が募っていく。
森を深く進むほど、動物の鳴き声
風の香り、小川のせせらぎ
-忘れていた感覚が再生していく
よく遊び、よく働くリーダーのもとには同様のスタッフが集いやすそうだが、そうしたリーダーは少数派。現代において、都心と自然を自在に往来しライフスタイルを築く若者も少ない。多くは左脳を使い続けるばかりで、感性を刺激し五感を働かせる機会に乏しい。結果、心身のバランスを崩し、仕事においてはリスクを嫌って受け身となりやすい。
このままでは人間本来の感覚を備えた人材が育たない。
軽井沢と白馬を拠点とするアウトドアリゾート「ライジング・フィールド」は、そう憂い、勤めていたコンサルティングファームを辞した森和成氏が始めた、自然体験活動を手段とする教育事業だ。
「コンサルティングファームで新入社員研修にも携わっていく中、言われないと動かない、答えを求めにいく、メンタルが弱い、といった若者に森は出会うようになりました。未来の日本は大丈夫かと、使命感を抱いて始めたのです」
立ち上げの背景を話してくれたのはプロジェクトメンバーの渡邊亮さん。また事業内容については内田成男さんが教えてくれた。
「自然体験活動を通じて〝子どもたちの生きる力を高める〟〝家族の絆を深める〟〝人・組織の可能性を切り開く〟ことがミッション。参画にあたり、一番目、二番目はもちろん、特に三番目の姿勢に共感を覚えました。自然の中での体験を通じて個人やチームのポテンシャルを引き出し、成長に関われることは大きな魅力でした」
しなやかな心が人生に豊かさをもたらしてくれる
先述した理由から、社員に自然体験を積ませたいと考える企業が増えている。そこで、丸太や大きな木の壁、地上から10mの高さに張られたワイヤーロープなどを使ったアドベンチャーラーニングプログラム「プロジェクトアドベンチャー」や、森を裸足でゆっくりと歩き危険察知能力を高める「フォックスウォーク」、感覚瞑想をしてイメージ力を高める「エンビジョニング」など、ネイティブアメリカンの生活習慣を取り入れたウィルダネスアウェアネスプログラムといったメニューを揃え、フルカスタマイズで要望に応える。
「ここ数年はコロナ禍から、感覚を使わなかったり、ある感覚だけに頼るような暮らしに息苦しさを感じている人が増えています。今の時代は五感を研ぎ澄まし、自身の内面と向き合い暮らすのは難しい。だからこそ、本来の感覚を取り戻したその先に豊かさがあると考える人は少なくないのです。」
ワークインライフの人生を豊かにする、人に備わる本来の力を取り戻せる場所。それが「ライジング・フィールド」なのである。
人も組織も幸せの総量を増やしていける
ワークインライフの人生を豊かにする、人に備わる本来の力を取り戻せる場所。それが「ライジング・フィールド」なのである。「ライジング・フィールド」は家族や仲間との貴重な体験を通じて「ラーニング」「ウェルネス」「コミュニティ」の3 つの機会を提供。「ラーニング」では自分・家族・仲間の新たな可能性を発見して互いに成長でき、「ウェルネス」 ではありのままの自然体な自分でいることで個人も組織も心とからだの健康と豊かさを獲得し、「コミュニティ」では新たな広がりを築き、また絆を深めることが可能に。人も組織も幸福の総量を増やすことが事業のコア。
フィールドはキャンプのビジターユースも可能。電源付きの常設テントから何もない中で過ごすブッシュクラフトフィールドまで、利用するフィールドを成長とともに変えていける。