武蔵野エリア / 3

立川市内をドライブすると、公共施設や公園など街のあちこちでアート作品を目にする。アートを街の個性として押し出し、市政や市民をあげて文化を育てている立川エリアは、街全体が美術館。車窓からアート探しをしながらまわってみよう。

Photography_Kunihisa Kobayashi Edit & Words_Eri Koizumi 

 

 

 

 

立川は、パブリック
アートの聖地

 

 

東京・立川駅北口にオープンした新街区「GREEN SPRINGS」は緑あふれるオープンな雰囲気のなかにレストランやショップ、人々が憩う場が広がり、室内と屋外がつながる居心地のいい複合施設。緑あふれる屋外の敷地内には水が流れる約120m の階段「カスケード」があり、水遊びを楽しむ親子で溢れている。また、美術館と子どもの遊び場を中心とする複合文化施設PLAY! MUSEUM(プレイミュージアム)は絵とことばがテーマの美術館で、絵本やマンガ、アートの本格的な展覧会が行われている。PLAY!PARK(プレイパーク)は、子どものための屋内広場。身近な素材でできた遊具を使って、子どもが自ら遊びを見つけ、大人も一緒になって楽しく過ごすことができるパークだ。

 

 

 

アートが街を豊かにする

 立川の街中を歩いてみると、アーティストの作品が歩道や広場で見られ、人々の生活に馴染んでいることがわかる。この地域は大正から昭和にかけて「立川飛行場」として栄え、第2次世界大戦後は米軍基地になった。1882年の基地返還後は、約6haの跡地にホテル、デパート、映画館、オフィスビルなど11棟の建物が作られ、そのなかに誕生した「ファーレ立川アート」は、都市計画の観点からも高い評価を受け、今では国内外から多くの人が訪れ、アートを通じた街づくりの代表となっている。中心人物として関わったのが、美術界の重鎮、北川フラム氏。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を立ち上げ、芸術祭が注目されるきっかけを作った人だ。立川のアートを軸とした街づくりの成功が、21世紀のアートの方向性を決めたことからも、立川はパブリックアートの聖地だといえる。街区を美術館に見立て、年に2回開催される「アートミュージアム・デー」も好評だ。さらに、2020年にオープンした複合施設「グリーンスプリングス」には美術館と子どもの遊び場を中心とする複合文化施設「PLAY!」が誕生。美術館とプレイパークを基盤としながらさまざまな活動を結びつけ、アートを楽しめる機会を創出している。心にゆとりと刺激をもたらしてくれるアートが当たり前のように存在する街は、豊かだ。

 

 

 

 
 

 

 

 

ファーレ立川アート

 

 
 
 
 
 

 

全部で109作品! 街歩きでアート探索

 

 「街を森にみたてる」というコンセプトのもとに世界中のアーティストが作品を制作。世界36 カ国92 人のアーティストによる109 の作品が街中に並んでいる。有名アーティストたちの作品が、ベンチ、街灯、駐輪場のサイン、ビルの壁、生垣や、歩道橋、車止めとなって、街と一体化している様が面白い。巨大な鞄、並走する車の彫刻(裏側には人が乗れる)、静かに佇む動物など、縦横無尽にアートが繰り出され、街中が美術館になっている。しかも、どこにも作家名や題名が書かれていないところが凄い。分かる人には分かるけれど、それがアートと気づかない人もいる。アート作品が日常の風景となっているのだ。

 

 

 

 

グリーンスプリングス

 

立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W2
☎ 042-524-2222
Open 9:30~19:00 年中無休
P 180台 EV充電器 あり

 

 

 

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