武蔵野エリア / 1

角川武蔵野ミュージアムのダイナミックな建築デザインに、鮮やかな色が映えるレンジローバースポーツ。 / RANGE ROVER SPORT(フィレンツェレッド)

角川武蔵野ミュージアムは、図書・美術・博物を混在させた前代未聞のミュージアム。イマジネーションを増幅させ、リアルとバーチャルを行き来する複合文化施設は大人を満足させる遊びが満載だ。

Photography_Kunihisa Kobayashi Edit & Words_Eri Koizumi 

 

 

 

 

本と遊び、本と交わる
好奇心を解放する文化複合施設

 

図書館、美術館、博物館 混在となったミュージアム

 所沢市内、畑や公園が並ぶ広々としたエリアに突如現れるグレーの建築物。ダイナミックにそびえ立つ多面体の建物は、大地が隆起して出現したイメージで建築家・隈研吾氏によってつくられた角川武蔵野ミュージアムだ。70㎜もの厚みの花崗岩を約2万枚用い、岩表面の凹凸を残して大地の力強さと躍動感を表現したインパクトある造形だ。ミュージアムは、図書館・美術館・博物館を全て混ぜ合わせた文化複合施設。漫画カルチャーも、文学も、アートも、科学も入り混じった館には、好奇心をワクワクさせる要素が濃縮されている。監修に関わったのは編集工学者の松岡正剛氏(館長)、博物学者の荒俣宏氏、芸術学・美術教育の研究者である神野真吾氏、建築家の隈研吾氏の4人。ミュージアムの象徴である「本棚劇場」は高さ約8mの巨大本棚に360度囲まれた空間で、書架の木は幅や奥行きにばらつきがあって、本棚全体が生き物のように動いているように感じ、その迫力に圧倒される。連日多くの人が訪れて膨大な書から知と遊びを体感している。

 

 

 

 

 

 

人の脳内を表す書棚、エディットタウン

 メインフロアである4階のエディットタウンは、館長の松岡正剛氏の監修による新しいタイプの図書空間。エディットタウンの中央を貫いているブックストリートは活気あふれる横丁のような通りで、世界を読み解くための「9つの文脈」をテーマに厳選された約2.5万冊の本が所狭しと並び、天井からは大きな文字が書かれたポスターもぶら下がってポップな雰囲気だ。独特の形状の本棚は隈研吾氏の設計によるもので、既存の図書館にはない、先進的な形。本は一見乱雑に置かれているが、これは人の脳内を表したディスプレイの仕方で、手に取って思考を広げやすいように計算尽くされた陳列なのだ。気になるテーマを見つけたら、一冊手に取ってみよう。きっと周囲に置いてある本にも興味が湧いて次々と手に取ってみたくなるはずだ。エディットタウン内には摩訶不思議な秘宝館が突然現れ、他の階にはマンガファンの聖地、大人の学びエリア、と幅広いジャンルのカルチャーを網羅していて、館の懐の深さに驚くとともに、一度ハマってしまったら抜け出せなくなる。5階層の迷路のようなミュージアムを見終えたら、グランドギャラリーでツタンカーメン展を見て、サクラタウン内の神社で車祓いをして、安全祈願しながらドライブ旅をスタートするのもいい。

 

 

 

 
 

 

 

 

大人の学び場とマンガの聖地

 

 武蔵野の雑木林をイメージした「武蔵野回廊」は武蔵野台地の今昔を読み解く300 冊の選書が並ぶ小径。数万年にも及ぶ人と自然の営みを知る大人の学びの場だ。「マンガ・ラノベ図書館」はライトノベルとKADOKAWA グループが発行しているマンガを一挙に揃え、ライトノベルは約3 万冊という日本一の冊数を誇る。美しい水盤に面したKadoCafeではドリンクを中心にさつまいもデザートなども楽しめる。

 

 

 

 
 
KadoCafe

 

 

 

摩訶不思議な秘宝館

 

博物学者・荒俣宏氏が監修する「荒俣ワンダー秘宝館」は摩訶不思議なものを集めた風変わりな博物館。珍しい生物のガラス標本、荒俣氏のホロウマスク、UFO 関連のグッズなど世界中から集めたものが並んでいる。この世になさそうなものは無理やり作ってしまったというからどれが本物でどれが偽物なのかもわからない。UFO のかけら、マンモスの毛、鼻で歩く動物、皿屋敷のお菊さんが化けたサナギなど。空想の世界もあれば真面目な科学展示もある秘宝館だ。

 

 

 

 

 

 

武蔵野坐令和神社むさしのれいわじんじゃ

 

隈研吾氏が建築デザインを監修し、国文学者・中西進氏が命名した神社がサクラタウン内にある。麗しく輝く日本の文化が永久に継続発展するようにとの願いを込めた命名となっている。天井画は天野喜孝氏が、ニホンオオカミをモチーフにした狛犬は土屋仁応氏が手がけるなど、アート要素が強く、一見の価値がある神社だ。ここでは車祓いも行っており、交通安全などのお守りもあるのでドライバーには最適な立ち寄りスポットだ。

 

 

 

 
 
 

 

 

 

体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春

 

グランドギャラリーでは様々な展覧会が行われている。11 月20 日まで開催されているのは「体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春」。この展覧会では、世界で最も有名な王の一人であるツタンカーメンに迫り、世界で3 つしかない「超複製品」の展示と「本物」をスキャニングした高精細デジタルデータによる映像没入体験ができる。墓に収められた副葬品など約130 点を精巧に再現した「超複製品」は、レプリカだからこそガラス越しではなく、顔を近づけて観察できるので、古代エジプトを知る貴重な体験になるはずだ。

 

 

 
 
 

 

 

 

角川武蔵野ミュージアム

 

埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3
☎︎ 0570-017-396
Open 日〜木 10:00〜18:00(金・土〜21:00)最終入館は閉館の30分前まで
Close 第1,3,5火曜
P 第1駐車場 148台、第2駐車場 115台、第3駐車場 142台

EV充電器 1台

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