革新のスピリッツを宿す
時計とクルマ
実用品として確かな機能性や信頼性を有していることは前提条件。
その上で独自の美観を確立させているところが名車の名車たるゆえん。
同じように伝統技術に加え、時代を切り開くデザインセンスを備えた時計ブランドがある。
スイスの老舗、オーデマ ピゲのタイムピースは、名車に通じる革新のスピリッツに溢れた逸品揃い。
写真=岡村昌宏 スタイリング=仲唐英俊 文=長谷川剛
新時代の扉を開き続ける
クルマと時計
名車と呼ばれるクルマは、往々にして機能的なフォルムを個性にまで高めた独自デザインを擁している。ポルシェ911は“RR”という駆動形式を卓越の技術にて突き詰めており、その挑戦はまさにスポーツカーの歴史そのものと言えるもの。マクラーレンやジャガーもまた、モータースポーツにて磨き上げた技術を流麗なボディに収めることで、速く美しい総合芸術的なクルマとして完成した名車ばかりだ。昨今で言うならば、クルマの新しい価値観としてホスピタリティの概念を投じたレクサスや悪路の走破性のみならず高機能を内包したラグジュアリーSUVとして、独自の境地を開いたランドローバーも見逃せない。つまり世界が刮目するクルマは、常に新時代の扉を開け続けている飽くなき革新者なのである。
時計も同様に、挑戦によってブレイクスルーを経たモデルだけが、名品として称賛と地位を獲得している。オーデマ ピゲこそは、確かな信頼性に加え先進的なデザインセンスにて、ウォッチシーンをリードし続ける名門ブランドだ。創業の1875年以来、磨き抜かれた職人技術にて、世界初と謳われる名作時計を数々生み出しているのである。
なかでもロイヤル オーク オフショアは、優れた防水機能に加え、同ブランドの代表作であるビス付きオクタゴナルベゼルを踏襲し、力強さのなかに高い独自性あるデザインを確立した傑作。昨今のトレンドである“デカ厚”の先駆として登場した、実にエポックメイキングなモデルなのだ。さらにこのスイスの老舗は伝統だけに囚われず、モダンな感覚をプロダクトに注ぎ込む名手でもある。2019年にリリースしたCODE 11.59バイ オーデマ ピゲは、世界の時計シーンを刮目させた革新的な意欲作。
薄幅ベゼルのラウンド型は、伝統美を感じさせる定番シェイプ。でありながら、ミドルケースに同ブランドに縁の深いオクタゴナルデザインを採用する新機軸を盛り込んでいる。そして繊細な濃淡を描くスモークカラー文字盤との融合により、見る者の視線を吸収せずにはおかない玄妙なルックスを完成させている。
自らのアイデンティティを見つめつつ、新時代の感性を刺激する巧みなデザイン力にてパッケージを補完する。変化に対応しトライアルを続けるアイテムこそ、エンスージアストが真に尊ぶべきアイテムと言えるだろう。
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オーデマ ピゲ ジャパン 03-6830-0000