THE PERFECT FIT CAR vol.1

プロトタイプが作られただけで量産されずに終わったタイプ993のスピードスター。ゾンダーヴンシュプログ ラムによって生み出されたのは、単なるその再現ではなく発注したルカ・トラッツィ氏の描く理想の姿のスピードスターである。

もしも手に入れられるならば世界に同じクルマのない、自分だけの1台を是非と願う気持ちは、きっとクルマ好きなら誰でも同じだろう。最近では多くのブランドが、そんなユーザーの思いに応えるべく、パーソナライゼーションのプログラムを充実させている。私たちの想像をも超えた技術と技巧が融合するその最前線のユーザー体験を紹介しよう。

Photography_Atsushi Makabe Words_Yasuhisa Shimashita 

 

 

 

自分だけの1台を手にする

 

Porsche 

 

自分だけのオリジナル究極のポルシェを“着る”

 

 ここにきて、ますますニーズが高まってきているポルシェ「エクスクルーシブマニュファクチャー」。外装、内装を思いのままにコーディネートできることから、今や工場から出荷されるポルシェにまったく同じ仕様のものは存在しないと言われるほどである。

 しかし、エクスクルーシブマニュファクチャーが普及するとともに、それでは飽き足らない、もっともっとという人が増えてきた。世界に1台しかない自分だけのワンオフモデルを作り出す。そんな究極のパーソナライズのために用意されたのが「ゾンダーヴンシュ」。直訳すれば“特別リクエスト”と呼ばれるメニューだ。

 ゾンダーヴンシュの一体何が特別なのか。まずワンオフと言うからにはボディやホイールのデザイン変更はもちろん、異なるスペックのエンジンのような、専用にカスタマイズされたハードウェアの搭載も可能になる。更に、新車オーダーの時だけに留まらず、過去のすべての世代の車両をベースにすることもできるというのも、大いに注目すべきポイントと言えるだろう。実際、憧れのカレラGTをついに手に入れたユーザーが、自分の望み通りの内外装に仕立て直すといった例は少なくないという。

 オーダーの仕方は様々で、スケッチや色見本などを持ち込む人もいれば、漠然としたアイディアを提示する人も。いずれにしてもゾンダーヴンシュは、単にオーナーのニーズに応えるのではなく、販売店のスペシャリスト、そしてポルシェ本社がまさにパートナーとなり、一緒にクルマを作り上げていくというのが最大の特徴だ。

 

 

 

ボディカラーはトラッツィ氏の愛犬の名に由来する「オットー・イエロー」。インテリアにもイエローが各部にあしらわれる。

 

 

  一例を挙げよう。イタリアの工業デザイナー、ルカ・トラッツィ氏は、このゾンダーヴンシュプログラムを通じてタイプ993の911スピードスターを手に入れた。歴代スピードスターすべてを複数台ずつ揃えているというトラッツィ氏が求めたのは、プロトタイプが作られただけで市販化されなかったタイプ993のスピードスター。しかも、単にそれを復刻させるだけでなく、フォルムも内外装の仕立ても走りに関わるスペックも、すべてを今の視点で見て理想的と言える1台にしたいというのが、彼の望みだったという。

 実際にこのスピードスターは、低められたフロントスクリーンの装着だけでなく、オリジナルデザインのトノカバー、専用のボディカラー、巧みにコーディネートされた内装に、カレラRS用の3.8ℓエンジン等々、全身にこだわりが反映された仕上がりとなっている。言わば従来のモデルに、新しい命を吹き込むわけである。

 

 

 

 

完全無比のオリジナル993スピードスター誕生

 

低いウインドスクリーンに合わせてソフトトップ、そしてウインドウもワンオフで制作される。
ベースは911カブリオレ。塗装から新車のラインで施工し直された。

 

 

 

 

ワンオフだけではない複数のゾンダーヴンシュ

 

▶ファクトリー・コミッション
新車購入時にゾンダーヴンシュ専用の内外装「カラー&トリム」のカスタマイゼーションオプションを選択、納車前に工場で装着するプログラム。

 

▶ファクトリー・リ・コミッション
納車済みの車両(クラシックカーや中古車を含む)をドイツの工場に送って「カラー&トリム」の範囲でカスタムを施すプログラム。

 

▶ワンオフ
唯一無二の特注モデルを製作するプログラム(新しいパーツやエンジン開発など)。

 

※プログラムによって価格や納期が大きく異なる

 

 

 

 

時代のもう一歩先へ自分だけのBEVを作る

 

 

宝石の翡翠にインスピレーションを得てゾンダーヴンシュ プログラムを通じて誕生したタイカン ターボS セレスティアル・ジェイド。

 

 

 実は今人気なのがタイカンをベースにしたワンオフだという。敢えて911ではなく電動スポーツカーをベースに選ぶのは、希少性という面でもまさにクールなあり方と言えるだろう。

 写真のグラデーション仕立てとされたボディカラーなど、驚くようなオーダーも可能。ゾンダーヴンシュの工房があるのはツッフェンハウゼン工場であり、つまり新型車は現状、911シリーズ、そしてタイカンがその対象となる。

 日本ではこのゾンダーヴンシュに全店舗で対応するが、なかでも国内に2店舗のみのエクスクルーシブマニュファクチャーパートナーの一つ、ポルシェセンター青山は多くの経験を有している。
「お客様の多くはポルシェを乗り継いできて、こうしたいという希望が明確です。それを元に実際にどうすれば具現化できるのかや、法的適合性、予測コストなども見ながら仕様を決めていきます」

 コンサルティングは3回ほど行なわれ、オーナーの希望に基づいて、目指すクルマの輪郭を明確にしていく。ポルシェ本社が作成したレンダリングを元に細部を固めて、納車までは受付から1~2年弱というイメージだという。

 ゾンダーヴンシュプログラムに於いてユーザーは、いわばチーフデザイナーでありプロジェクトマネージャー。まさに自分の思うままの、世界に1台のポルシェを手に入れるという夢の体験は、もはや夢ではないのである。

 

 

翡翠の天然石からジュエリーへと昇華していくプロセスをグラデーションカラーで再現。見る角度によって色が変わる2つの特殊な塗料を開発、ブレンドすることで独自のカラーを構築。
内装は外装同様に鮮やかなグリーンに黄色と金色のトーンを配した「アーバン・バンブー」というカラーコンビネーション。
リアのモデルネームやエレクトリックロゴにも同様の塗装が施されている。

 

 

 

 

 

国内2店舗のエクスクルーシブマニュファクチャーパートナー

 

 

ポルシェセンター青山の2階にはExclusive専用のブースが設えられている。ボディカラーやシート地などの豊富な見本とコンフィギュレーターが用意されており、自分だけの1台を画面上で再現できる。

 

 

 ポルシェのユーザーが、自身の個性をクルマに反映させることを可能にするオプションプログラム
「Exclusive Manufaktur(エクスクルーシブマニュファクチャー)」。一番馴染み深いのがPTS(Paint to Sample)だろう。用意されたカラーパレットは実に160色以上にも及ぶ。

 自分だけのオリジナルカラーでペイントできるのがPTS Plus(Paint to Sample Plus)。特別に調合された塗装は厳格な耐久試験を経て、ようやく車体に塗られるのだ。

 他にも外装の細かなディテール、内装トリムにシートの素材、カラーにステッチと、個性を投影できる範囲は多岐にわたる。MT用シフトノブのシフトパターン部分のベース色を変更する、シート地をキルティングパターンに、メーターパネルを専用色で仕立てる…など細部にまで思いを存分に反映できる。

 日本にわずか2店舗の「エクスクルーシブマニュファクチャーパートナー」のうちのひとつがポルシェセンター青山。専任の担当者とともに、自分だけの1台を描き出すことができるのだ。

 

 

望むボディカラーの実際の質感、微妙なニュアンスまで確かめられるカラープレートを常備。
スラット付きレザーエアベントのサンプル。ステッチカラーも選べる。
PDKのセレクターレバー表皮も様々なカラーのレザー、カーボンなどが設定されている。
エクスクルーシブデザインのフューエルキャップ。納車後でも交換できる。

 

 

ポルシェセンター青山

 

港区南青山3-11-13
☎ 03-3403-0911
Open 10:00~18:00

 

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